前編はこちらです。



あの海へ向かう旅路はどこか暗雲がかかった心模様で、行き交う街の人々や喧騒に心底うんざりしていた。
車窓から見える景色にさしたる興味を覚えることもなく、ただ過去の日々に想いを馳せた。



こころのふるさとに近づくにつれて、車窓の景色は緑に色付く。
久しぶりに世界が色鮮やかに見えた気がした。
ようやく、帰ってきた。











あの海までは自分の足でいきたい。
かつてそうしたように、かつてとは変わった私はあの海へ向かう。
よく家族できたスーパーやパン屋を通り、かつての日々をなぞりながら。
私はあの海に向かってわたしに還っていく。









久しぶりに聴くあの海の波音。
かつてそうしたように砂浜に座ってパンを食べる。










波音を聴くにつれてわたしの心は凪いでいった。
わたしはこころが疲れた時はこの海に来ていた。
この海を離れた私はこころが疲れたときの対処法をまだ見つけられていない。






たったの4時間しかいられなかったけど、それでも4時間前の私と今の私は別人だ。
自分が何に癒されていて、何に疲れていたのかを知った気がするから。




あの海に向かっている時はうんざりした人波も、帰る私はありのまま受け止める。
またあの海へ還ることができると知ったから、少し余裕が生まれたのかもしれない。
こうして、私はまたあの慌ただしい日々に戻ってくることができたのだ。

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